109.参蘇飲

〔出典〕 和剤局方・治傷寒

治感冒発熱頭疼、或因痰飲凝結、兼以為熱、并宜服之。若因感冒発熱、亦如服養胃湯法、以被蓋臥、連進数服、微汗即愈。面有余熱、更宜徐徐服之、自然平治。因痰飲発熱、但連日頻進此薬、以熱退為期、不可預止。雖有前胡、干葛、但能解肌耳。既有枳穀、橘紅輩、自能寛中快膈、不致傷脾。兼大治中脘痞満。嘔逆悪心、開胃進食、既以踰此。貫以性凉為疑、一切発熱皆能取效、不必拘其所因也。小児、室女亦宜服之。

〔訳〕感冒の発熱頭疼、或は痰飲の凝結により兼ねて以って熱となるを治す。併せて宜しくこれを服すべし。若し感冒の発熱によらば、亦養胃湯(人参養胃湯)を服するの法の如く、被蓋をもって(布団をかぶって) 臥し、連進(続けて服用する)こと数服にして、微汗すれば即ち愈ゆ。面に余熱あらば、更に宜しく徐徐にこれを服すべく、自然に平治す。痰飲発熱によるは、ただ連日頻(しき)りにこの薬を進め、熱退くをもって期となし、予め止むべからず。前胡、乾葛ありといえども、ただよく解肌するのみ。すでに枳穀、橘紅(陳皮)の輩ありて、自らよく寛中快膈し脾を傷ることを致さず。兼ねて大いに中脘肥満する(心窩部がつかえ脹る)を治す。嘔逆悪心は胃を開き食を進め、以ってこれを踰(こゆる)(服用しすぎる)ことなく性凉なるをもって疑いをなすことなかれ。一切の発熱皆能く效を取り、必ずしもその所因(原因)に拘らざるなり。小児、室女また宜しくこれを服すべし。
治感冒発熱頭疼、或因痰飲凝結、兼以為熱、并宜服之。若因感冒発熱、亦如服養胃湯法、以被蓋臥、
連進数服、微汗即愈。面有余熱、更宜徐徐服之、自然平治。因痰飲発熱、但連日頻進此薬、以熱退為期、
不可預止。雖有前胡、干葛、但能解肌耳。既有枳穀、橘紅輩、自能寛中快膈、不致傷脾。兼大治中脘痞満。
嘔逆悪心、開胃進食、既以踰此。貫以性凉為疑、一切発熱皆能取效、不必拘其所因也。小児、室女亦宜服之。

〔訳〕感冒の発熱頭疼、或は痰飲の凝結により兼ねて以って熱となるを治す。併せて宜しくこれを服すべし。
若し感冒の発熱によらば、亦養胃湯(人参養胃湯)を服するの法の如く、被蓋をもって(布団をかぶって) 臥し、
連進(続けて服用する)こと数服にして、微汗すれば即ち愈ゆ。
面に余熱あらば、更に宜しく徐徐にこれを服すべく、自然に平治す。痰飲発熱によるは、ただ連日頻(しき)りに
この薬を進め、熱退くをもって期となし、予め止むべからず。前胡、乾葛ありといえども、ただよく解肌するのみ。
すでに枳穀、橘紅(陳皮)の輩ありて、自らよく寛中快膈し脾を傷ることを致さず。兼ねて大いに中脘肥満する
(心窩部がつかえ脹る)を治す。嘔逆悪心は胃を開き食を進め、以ってこれを踰(こゆる)(服用しすぎる)ことなく
性凉なるをもって疑いをなすことなかれ。一切の発熱皆能く效を取り、必ずしもその所因(原因)に拘らざるなり。
小児、室女また宜しくこれを服すべし。

〔構成〕

木香半両 紫蘇葉 乾葛(葛根)洗 半夏湯洗七次姜汁制炒 前胡去苗 人参 茯苓去皮各三分
(一貫堂の世界では二分) 枳穀去瓤、麸炒 桔梗去芦 甘草炒 陳皮去白、各半両

右㕮咀。毎服四銭、水一盞半、姜七片、棗一個、煎六分、去滓、微熱服、不拘時候。
易簡方不用木香、只十味。』

紫蘇葉・,枳実・人参・大棗・木香各1.5、桔梗・,陳皮・,葛根・,前胡各2、半夏・茯苓各3、
甘草・乾姜(生姜1.5)各1  (煎))

太陽~少陽病あたり
辛温解表剤と辛涼解表剤の中間の風邪薬
肺熱の風邪、夏風邪に本方証が多いという
老人や妊婦などの体力のない者の風邪によい
咳しても痰切れにくい、くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状がない~肺寒との区別
咳嗽、多痰、鼻水、鼻閉、などに発熱、軽度の悪寒、頭痛身体痛、咽痛などの表証を伴い
食欲不振、元気がない、易疲労、悪心、嘔吐、腹部膨満感、腹水などを伴うこと多い。
舌は淡紅、苔は白薄、脈浮緩
普段から消化吸収能の低下があり、水分の吸収、排泄の障害により、気道分泌の亢進や消化管内の溜飲などが生じた状況に、 +
感冒などの感染が加わり咳嗽、多痰、胃腸症状が顕著に現れたものと考えられる