【基原動物】 |
スジアカクマゼミ Cryptotympana pustulata |
【 生薬名 】 |
蝉退 CICADAE PERIOSTRACUM |
【 科 名 】 |
セミ科Cicadidae |
【 別 名 】 |
蝉蛻(ゼンゼイ)、枯蝉(コゼン)、腹虫育(フクイク)、蝉殻 |
【薬用部位】 |
セミの抜け殻、その他のセミの脱け殻も利用出来る |
【 主成分 】 |
薬効成分は未詳。キチン質、ケラチン、窒素、灰分 |
【 薬 理 】 |
動物実験で蝉蛻はストリキニーネ、コカイン、ニコチンなどによる痙攣に拮抗し、ニコチンによる筋肉の震顫を部分的に消滅させる蝉蛻は鎮静作用があり横紋筋の緊張を低下させ、また反射反応を抑制する。 |
【 薬 能 】 |
蝉蛻は能く肺に入って肺を開き、肝に入って肝を平らげ、風を散じ、熱を清し、驚を定める効がある。 |
【 薬 性 】 |
気味は鹹甘寒、帰経は肺肝に属す |
【 効 能 】 |
●疏散風熱・利咽喉・退目翳・定驚癇 |
●外観上風熱、咳嗽のあるもの、及び蕁麻疹、皮膚痒症など…蝉退は風熱を発散させる作用がある、蕁麻疹の搔痒についても止痒作用がある |
●咽喉腫痛および声がれ症など |
●眼の充血腫痛、白内障などで風熱が引き起こすものによい |
●熱水抽出エキスにインターフェロン誘起作用が認められる |
【 備 考 】 |
●蛻殻を用いるには、沸湯で洗って泥土、翅、脚を去り、糊を溶いた水で煮てから晒し、乾かして用いる。蝉は土、木の余分なエネルギーの化したもので風を飲み、露を吸い、その気が清虚なものだから、主な治療上の功効皆一切の風熱の証である。 |
【 話 題 】 |
あるメーカーから聞いた話ですが、H29年、中国では蝉の幼虫を食べることが大ブームとなっているため、蝉退の入手が極めて困難になっているそうです。 |
【 出 典 】 |
●蚱蝉サクゼン.味鹹寒.生楊柳上.治小兒驚癇.夜啼.癲病寒熱.(神農本草経中品) |
●小児の驚癇、産婦の子の下らぬものを治す(蝉殻:名医別録) |
●小児の壮熱、驚癇を治し、渇を止める(蝉蛻:薬性論) |
●頭風、眩運、皮膚の風熱、痘疹の癢きもの、破傷風、及び疔腫毒瘡、大人の失音、小児の噤風、天弔驚哭、夜啼、陰腫を治す (本草綱目) |
【 処方例 】 |
消風散、天麻釣籐飲 |