役に立つ身近な秋の薬草10

9月も下旬になり、朝夕とだいぶ涼しくなりましたね
ここでは秋口に花の咲く薬草を選んでみました

薬草写真 名称 用い方と特徴
ノダケ
生薬「前胡」
セリ科
9月17日に近くの山に行ったときに見つけたものです。
ノダケの花は小豆色をしていて一度見たらすぐに覚えられるものです。
セリ科の仲間です。
効能としては発汗、解熱、鎮咳、去痰など風邪の脾気はじめに飲むと良いです。中国では風邪、気管支炎、夜泣き、妊婦のむかつき、吐き気等に使うようです。日本ではあまり使う生薬ではありません。薬用部分は根を使います。
映画「復習するは我にあり」の殺人現場の旧仲哀トンネル(現在は通行禁止)の近くで見つけました。ここは桜の名所として生まれ変わっていて春は花見客でいっぱいです。そうそう、このトンネルにはユーレイが出るという噂があり夜な夜な若者たちが訪れているようです。
キンミズヒキ
生薬
「仙鶴草」
「竜牙草」
バラ科
写真がいまいちで申し訳ありません。9月17日に撮影しました。
根茎を含む全草を使います。漢方では止血薬に分類されています。身体各部の出血に使います。鼻血、吐血、血便、血尿、子宮出血などですね。ただし、その力は弱いようで他の止血剤との併用が単独使用よりも良いようです。そのほかには、下痢止めにも使う。
止血には生薬を黒焼きにして用いると効力が強まることが経験的に知られています。
メハジキ

生薬
「益母草」(全草)
「充蔚子」(種子)
シソ科
写真は9月17日に撮影しました。一時期、益母草と肉豆寇の煎じ液でうがいすると歯周病によいと騒がれましたね。益母草の名の由来は母を益する草からきています。中国や韓国では嫁入りの時に持たせる風習があると聞きます。産後の浄血に用いる弓帰調血飲第一加減にはこの益母草が入っています。益母草は全草を用い、産後の出血、浄血、体力回復、月経不順、こしけ、めまい、腹痛などに使います。種子の充蔚子も同じように使いますが、視力の増強にも使います。益母草はシソ科の植物で、特徴として茎が四角いのです。四角い茎=シソ科と覚えといてくださいね。
ヤブラン
生薬「大葉麦門冬」
ユリ科
ヤブラン、ジャノヒゲともに麦門冬湯として使います。効能は鎮咳、去痰、声嗄れ、鎮静、利尿、動悸、息切れ、滋養強壮等に使います。花の時期はジャノヒゲ(右写真)の方が1〜2月ほど早いようです。実はヤブランは黒く、ジャノヒゲは青い。薬用部分は根の肥大したところですがヤブランの方が3〜5倍ほど大きいです。
山や神社などの薄暗いところによく繁殖しています。
ジャノヒゲ
生薬「小葉麦門冬」
ユリ科
ジャノヒゲは石垣や家の庭に、良く植えられています。葉の長さは10〜15センチ位です。コンクリートのブロックの穴に植えていても、地下には栄養たっぷりの塊茎があり、水分さえあれば滅多なことで枯れることはありません。ジャノヒゲは株が段々と大きくなるので株分けをする必要があります。ジャノヒゲのことをとリュウノヒゲと思っている方が多いのですが、実は別の植物です。リュウノヒゲは株を作りません。その上葉の長さは30センチ以上にもなることがあります。見た目は本当にリュウノヒゲのようなのです。山にゆくと見られることがあります。
エビスグサ
生薬「決明子」
マメ科
家の裏の田圃で1本見つけました。鳥の糞の中から発芽したのでしょうか
エビスグサはもっとも親しまれている薬草の一つです。バブソウ荼としても使われています。効能は滋養強壮として焙じてお茶として飲むのが一般的です。漢方ではこのほかに目を明らかにするとして視力の回復にも使います。ハブソウは生薬を望江南と言います。ともに種子を使いますがハブソウは丸みかがった扁平でエビスグサは円柱状です。莢はエビスグサは先が尖り、ハブソウは先は丸くなっています。ともに緩下作用のある成分を含むので、健康増進にハブソウ荼などを飲み過ぎて下痢気味になる人がいますが注意してください。
オナモミ
生薬「蒼耳子」
子供の頃に「くっつきぼう」と呼び投げて遊んでました。果実を使います。小毒ありと云われ長期間の連用や大量服用には注意が必要です。特に妊婦さんは服用しないで下さい。漢方では風邪による頭痛や発熱、アレルギー性鼻炎に使います。そのほか民間では茎葉のしぼり汁を虫さされ、湿疹、疥癬、切り傷などに外用します。同類のメナモミも同様に使います。
キカラスウリ
生薬「瓜呂根」「天花粉」   「瓜呂実(全瓜呂)」
   「瓜呂仁」
初冬に黄色い果実がつくのでこの名があります。漢方では根を瓜呂根(書き方は色々あります)と呼び止渇、解熱、利尿、採乳に使います。実を刻んだものは瓜呂実といいます。種子は瓜呂仁と言います。括楼実は鎮咳、去痰、鎮痛、利尿、採乳に使います。。楼仁は鎮咳去痰の他に、脂肪分が多く含むので、刻んで煎服すると通じをつけます(潤腸作用)。根のデンプンから作られた粉末が本当の天花粉ですが、現在ではバレイショデンプンと亜鉛華から作られたものをこう呼びます。効能は汗疹です。あせもの民間療法として35度の焼酎に天花粉またはシッカロールを溶かしてどろどろとしたものを汗疹に塗っておくと翌朝には汗疹は枯れています。アルコールがしみるので子供は嫌がりますが、本当に良く効きます。
ツルドクダミ
生薬「可首烏」根茎
   「夜交籐」茎葉
葉の形はドクダミに似ている蔓性の植物なのでツルドクダミと言われます。根茎の可首烏は補腎、すなわち補精、強壮の作用があり強壮剤としてつかいます。長服すると髪を黒くすると云います。カロヤンアポジカには可首烏と竹節人参のエキスが入っています。また通じをつける作用がありますので緩下、整腸剤として使われますが飲みすぎには注意が必要です。強壮に薬用酒に漬けて飲んでも効果があります。茎葉も同様に使うようですが効能は根茎には遠く及びません。